これまでに訪れたことのある都市や建築について書いています。
パリ/パリ郊外/プロヴァンス地方
○パリ郊外  
アルミニウム100周年記念パビリオン/1954 
ジャン・プルーヴェ設計
アルミニウムという素材が出現して100周年になることを記念して建てられたパビリオンで、一時解体されていたものの1999年にパリ郊外に移設されています。
設計はジャン・プルーヴェで最近は家具デザインで注目されていますが、家具だけでなく照明器具、建築金物、カーテンウォールユニット、プレファブ住宅から建築の生産方式に至るまでその作品は多岐にわたり、一貫して手工業の伝統(クラフトマンシップ)に基づいた工業生産のあり方を追求していました。
このパビリオンはアルミの柱と梁からなる門型フレームが1.32mピッチで連続し、幅15m奥行90m(オリジナルは150m)の大空間を作り出しています。アルミの押出成形された柱は建物を支える本来の機能だけでなく中空部は竪樋として、また外壁のガラスやアルミパネルを差し込むサッシュ枠としても機能しています。U字型に曲げ加工された梁材は部材の運搬を考慮し5mごとに三分割され現場で一本の梁に組み立てらるように設計されています。
アルミという素材の特性を生かし、生産組立過程においても無駄のない合理性を実現しているだけでなく、微妙な曲線を描いて連続する構造フレームは端正な美しさを兼ね備えています。
工業生産とデザイン(芸術)の統合を目指したプルーヴェの取り組みはこれからの工業技術のあり方を考える上でも示唆にとみます。
 
 
 
 
建物全景
シンプルで合理的なシステムで全体が成り立っており軽やかな印象を受けます。
支柱と梁材の取り合い部分
アルミの支柱の上に梁材がのせられています。梁材はU字型の形状をしており屋根の雨水を受ける樋としても機能しています。
建物内部
奥行き方向は門型フレームを連続させればどこまでも延長させることができます。
外壁の見上げ
屋根板はゆるやかな曲面がつき、強度を上げるだけでなく水勾配にも考慮しています。
エントランスドア 支柱のディテール ガラスのファサード
ノートルダム・デュ・ランシー教会/1923 
オーギュスト・ペレ設計
パリ郊外のル・ランシーという町にある教会です。設計したオーギュスト・ペレは鉄筋コンクリートを初めて建築に本格的に取り入れた人で、コンクリートの父とも言われています。
この教会は世界で初めて作られた鉄筋コンクリート造の教会で、高さ11m直径40p程の細い円柱がヴォールト状の天井を支え軽やかな大空間を作り出しています。従来の教会建築のような石壁が建物の荷重を支える構造とは異なり、鉄筋コンクリートの柱と天井を構造とすることで、ファサード(壁面)が構造から自由となり大きなステンドグラスの開口が可能となったのです。
ドアを開け一歩内部に足を踏み入れると、左右正面のあらゆる壁面から溢れんばかりの光が内部空間を満たし、その美しさには思わず息を呑むほどです。ステンドグラスを通した色とりどりの光がコンクリートの粗い面に映し出され、幻想的な宗教空間を作り出しています。
 
 
建物内部
伝統的な教会のプランを路襲しています。
建物外観
祭壇から入口方向を見る
左右正面のあらゆる壁面から溢れんばかりの光が差し込みます。まさに光に包まれるという表現がぴったりときます。
ステンドグラスのディテール
この教会はステンドグラスの美しさでも有名です。デザインはモーリス・ドニ。
   
≫page TOP
鷲見工務店
一級建築士事務所/岐阜県知事登録 第4065号
建築工事業/岐阜県知事許可(般-18)第9604号
〒500-8379 岐阜県岐阜市権現町5番地
TEL:058-252-1383 FAX:058-253-0219 E-mail:info@sumi-koumuten.com